2023/03/20 13:45
こんにちは、Kulasukhaです。
当店の商品説明欄などにたびたび記載している"化学物質過敏症"についてお話したいと思います。
本来はハンドメイドアクセサリーショップなのでこういった内容を書くことに躊躇しましたが
ぜひ一読してほしい思いで掲載しました。長文ですがよろしくお願いします。
■"化学物質"とは?
一例を挙げてみますと
香料を含む洗剤や柔軟剤、芳香剤、消臭剤などの日用品や化粧品
また殺虫剤や虫よけスプレー、農薬、
そして接着剤や塗料、住宅建材、排気ガスや暖房等の燃焼ガスなどに含まれている物質のことで
日常にありふれているものばかりです。
そしてこれらはほとんど目に見えないものであり空気中に漂っています。
そしてこのように日常で何気なく使用しているものに含まれる化学物質に接触し続けることで、
頭痛や倦怠感、呼吸困難、疲労感など様々な症状が現れるのが化学物質過敏症です。
■私が知ったきっかけ
初めてこの症状について知ったのは約5年前。
以前働いていた職場の同僚Aの訴えからでした。
その同僚は他の社員の柔軟剤の匂いが強すぎてツライとよく話していました。
別のチームで働いていたため、当該の柔軟剤臭がキツい社員とはあまり接点がなく
大変だね~、マスクするとかどう?などあまり深く考えてはいなかったですし、
私も少量ではありますが香りが長く続くタイプの柔軟剤を使用していたため、
当時は「私と一緒にいても平気なら気のせいじゃない・・・?」とも思っていました。
しかし日を追うごとに
「頭が痛い」「吐き気がする」「頭がぼーっとして物事がうまく考えられない」「震えが止まらない」などの症状を訴え始め
同僚Aは一旦柔軟剤臭がキツイ社員から離れるためチームを異動することになりました。
異動先は私のチームでした。
同僚Aとの仕事初日に
「あのね、私、化学物質過敏症かもしれない。」と告げられました。
そこで初めてその言葉を知りました。
調べると当時(5年前)はまだ情報がほとんどなく、正直なところ半信半疑ではあったものの、
まずは自分が香り付きの洗剤・柔軟剤の使用をやめることにしました。
そしてチームの部下達にもお願いをし、香料を含む日用品の使用を辞めることに。
当時の同僚Aはその変化によってなんとか仕事を続けられるようになりましたが
結局チーム内だけが変えても、食堂や休憩室に行けば他の社員の匂いに体調を崩し
ついには震えが止まらず、呼吸も乱れるようになり最終的には退職してしまいました。
■香り付き製品の使用を辞めたあとの変化
この同僚Aがきっかけで、使用する日用品は無香料のものばかりになった私は
昔、自宅で洗濯ししまい込んでいた浴衣を広げた際に
ものすごく強いフローラルな香りがすることに気づきました。
洗濯したのはもう何年も前なのに、いまだに香ることに驚きました。
近年の残香性の高い柔軟剤には、マイクロカプセルという小さなカプセルに香り成分を閉じ込め、
その香料入りカプセルが摩擦などで弾けることで香りが漂う仕組みが使われています。
そしてその香料入りカプセルは衣類の繊維にしっかり吸着するよう、粘着性があります。
そのため、少し触れただけで手や他の衣類にもマイクロカプセルが付着し、香り続けます。
さらに厄介なことに匂いには慣れ・常習性があります。普段から使い続けているとその匂いに慣れてしまい
徐々に強い匂いを求めてしまうことがあるといわれています。
当時、私が使用していた洗剤・柔軟剤の香りの強さには自身で気づくことができなかったのに
無香料の製品を使用する生活を続けて、嗅覚がリセットされたお陰か
今はとてもとても強い匂いに感じます。
そして、1つ悩んでいたことが解決しました。
それは背中や胸などの肌荒れが治まったことです。
吹き出物が頻繁に出ていたのですが、肌着を無香料・無添加の洗剤で洗うようになってから
徐々に頻度が少なくなり、今では全く背中や胸の吹き出物がありません。
特に食生活を変えたわけでもなく、何か特別な医薬品を使用したわけでもなく
変えたのは香料入りの洗剤・柔軟剤を辞めたことだけ。
肌荒れが治らない方は、まずは洗剤を見直してみると良いと思います。
■世の中にあふれる"香り"に隠れた危険性
そうはいってもこれらの香り付き製品は普通に売られています。
消費者側からすれば、スーパーに並んでいるのだから安全なんでしょう?
安いんだからこれを買うしかない。という気持ちになってしまうのは当然でしょう。
しかしこれまで、安全だと思われていた添加物が実は長期的に摂取すると危険だったとか
タバコの有害性が広まり分煙化が進んだように、
今は規制がなくとも今後危険性が明らかになる場合があります。
5年前にはほとんど知られていなかった"化学物質過敏症"
今やそのワードで検索すると2,280,000件もヒットします。
またこれは早急に改善すべきことで、
SDS(Safety Data Sheet=安全データシート)という、事業者が化学物質や化学物質を含んだ製品を提供する際に
危険性・有害性・取り扱いに関する情報を、ラベルにて表示する義務があるのですが
業務用の洗剤には危険性・有害性が表示されているなか、
現在は一般家庭で使用される消費者向け商品にはラベル表示またはSDS交付義務の対象ではないために
有害性のある化学物質であることを一般消費者は知らされることもなく、使用しているのが現実です。
今はブログやTwitter、各市町村のHPなどで警鐘を鳴らす呼びかけがかなり多くなってきていますが
それでも「生乾き臭」だとか「ゾンビ臭」だとか、"臭い"というデリケートなワードで不安を煽り
抗菌・脱臭などのワードでメーカーは粗悪な商品を製造・販売し続けています。
きっとその商品を買う人は"いい香りはエチケット"だと思っているのがほとんどで
まさかその香料や化学物質が、人々の健康を害しているなんて思いもしないのだろうと私は考えています。
また先ほどにも記述したように香料は繊維の奥に入り込み、粘着性があるため洗うたびに香りを蓄積しています。
それが生乾き臭やぶり返す臭いの原因になっていることに気づけば、メーカーの策略にも気づくことでしょう。
■個人的に取り組んでいること
私も近年、仕事等の都合で岩手県北部から都心部へ引っ越して、
公共の交通機関や人が多い場所に行くと柔軟剤や合成香料により、頭が痛くなったり吐き気がしたり、咳が止まらなくなったり
化学物質過敏症のような症状が出るようになりました。
電車に乗ることが辛く通勤ができず、在宅での仕事をするため
ハンドメイドアクセサリーのショップをオープンしました。
これはよく実際に体験することですが、フリマサイトやインターネットで買った商品が届いたときにフローラルな香りがすることがあります。
きっと香料の移香なのだと思います。
「せっかく買ったのに」「次もまた匂いがついていたらどうしよう」と思い毎回通販で買ったものが届いたときはドキドキして開封します。
そんな思いをしている人は自分だけではないのでは・・?と思いはじめ
せっかく無香料の空間で制作しているアクセサリーが輸送中に移香してしまわないように
食品衛生法に適合したチャック付きバッグを使用してアクセサリーを梱包することにしました。
もちろん、エコの観点からもチャック付きバッグが不要な方には無理にお付けしませんが、
不安な方や気にされる方に梱包の選択肢があることを大切にしたいのでそのようなご案内をすることにしました。
ご注文の際に備考欄に記載いただければ移香対策をして梱包いたします。
(外箱についてはどうしても外気に触れるので難しいです。)
↓チャック付きバッグを使用した梱包例
ここからプチプチに包み、段ボールで発送します。
■さいごに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
世の中にはたくさんの疾患や病気、症状と戦いながら日々を過ごす方が多いと思います。
目に見える障害を持っていたとしても適切な福祉を十分に受けられない方がいるなかで
目に見えない障害や疾患を抱える方にとってはより周りからの理解を得ることが難しいと感じます。
例えば数十年前は鬱も気持ちの問題だとか気のせい、根性が足らない、甘え、など言われていましたが
今では昔と比べるとだいぶ理解が進んできているように感じます。
ある意味ではそれだけ鬱が増え、当事者が増えたから理解が進んだのかも、と思うとそれはあまり喜ばしいことではありませんが
しかし認知が増えたことで鬱でない人がこれから鬱にならないように予防できるようになったことも事実だと思います。
化学物質過敏症においても、今はまだ「なにそれ?」と言われることが多いですが
今後もこういった日用品に潜む化学物質に暴露され続けることで発症する人が増えていくと思います。
しかしこれもまた認知が増えれば対策や抗議の声が大きくなり
いつか化学物質過敏症にならないようにしようと予防し始める人が増えるのではと思っています。
化学物質過敏症は未解明な部分が多い疾患で現時点では特別な治療法は存在しません。
今できることは原因物質を突き止めて排除すること、使用しないこと、近づかないこと、くらいです。
私もなるべくそういった生活を続けることで昔ほど頻繁に体調が悪くなる頻度は減りました。
当店は一人で運営している小さなアクセサリーショップですが
安心してお買いものができたり、お出かけしなくてもデイリーにお洒落を楽しめるお手伝いが少しでもできるよう
心を込めて制作しています。
これからもブログやTwitterなどで時々アクセサリー以外についても発信していきたいと思っています。
どうぞ応援していただけると幸いです。